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手紙
ある日の夕方、借りていたマンガを返すために
あたしは虎ちゃんの家、雅臣寺へ行った。

虎ちゃんは本堂の前に立っていた。
夕暮れに照らされて、ブリーチされた金色の髪がキラキラ綺麗。
手には、白い何かが握られていた。
声をかけようとしたその瞬間、虎ちゃんはそれにマッチで火をつけた。

「ちょっ!虎ちゃん!何してるんだべさ!!」

あわてて駆け寄り奪ってみてみると、手紙だった。
端の焼け焦げたそれに書かれていたのは女性の文字、知らない名前。
虎ちゃんのおかーさんに宛てられたものだった。

「母ちゃんがよ、俺様に読めって。」
「…なんで、読まないの?」
「読む気ねぇから…それ、俺様を捨てた女からだからよ。
 今更なんだっつんだよ、今更…実の親だとかウゼェし!」
「あ…。」

虎ちゃんは幼稚園の頃、孤児院に引き取られてから、雅臣の家にきたらしい。
虐待されて、愛情も知らず、笑わない子だったっておばさんが言ってた。
そんな虎ちゃんが今みたいに育ったのは、雅臣のおじさんとおばさんの
愛情のお陰だってつくづく思うし、感謝してる。
だって今の虎ちゃんが、あたしは大好きだから。

「ガキだからって忘れたわけじゃねーよ…あの地獄の日々。
 だから何書いてあんのか知らねーけど読む気ねぇ!」

声を荒げる虎ちゃん、震える肩。

「あたしが、読んでもいいかい?」
「……別にいいけど。」

興味本位でそう言った訳じゃない。
虎ちゃんのおばさんが、なぜ虎ちゃんにそんな人からの手紙を
読めって言ったのか、真意が知りたくて、あたしが代わりに読もうと思った。

内容は大方想像していた通り。
身寄りがなくなったから、虎ちゃんを引き取りたいっていう
あまりに乱暴で横暴で自分勝手な申し出。
虎ちゃんを捨てた人を憎いと思った。
初めて心から、人を憎んだ。

「虎ちゃん、火、つけなや。」
「え?」
「ほら、早く!」

言われるがまま、虎ちゃんはマッチをすった。
その炎に、あたしが手紙を近づけ、燃やした。
そしてそれは、目に痛い煙を出しながら、空に消えていった。

「これで、共犯でしょや。おばさんには一緒に謝ってあげるからね。」
「里栖…お前。」

困ったような顔をして笑ったかと思うと、虎ちゃんは突然しゃがみこんだ。

「うおおおお!俺様は今、お前を超抱きしめたい!!駄菓子菓子!!
 親父さんとの協定上それは致しかねる!致してしまうと
 俺様ハチの巣にされてしまう!故に里栖!そんな不憫な俺様を
 逆に抱きしめていただきたいーー!!」
「なんの協定だべさ…もう、しょうがないにゃー…今日だけだよ?」

あたしはちっちゃくなった虎ちゃんを、抱きしめて
まるで泣いてる子供をあやすように、背中を撫でた。

「虎ちゃんの'本当の親'は、雅臣のおじさんとおばさんだよ。」
「……おう。」
「親孝行しなや?」
「…………おう。」


悲しみは全部、この空に、もうすぐ世界を照らす黄金の月に
融けて消えてしまえばいい。
そしてお日様が出たら、みんな笑顔に戻れればいい。

ずっとずっと、笑顔でいれたらいい…。
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テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

【2007/03/01 17:16 】
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